月が今日も綺麗だね

推しのいる生活 QOLの向上

夜が明けたら、いちばんに君に会いに行く 感想

 

詩的美的エモ系恋愛映画で目を浄化するか~!ってノリで行くやつではなかった。現代社会を生きる人間なら多かれ少なかれある内側の苦しみと救い、高校生の茜ちゃんに似た性格とか境遇、不安が発作に繋がることが手に取るように理解できる、人だと結構重さのある刺さり方すると思う。あの感じ見てたらマスク期の茜ちゃん、一回心療内科行っても良いと思った。(これがまたハードル高い部分ではある)そのくらい現実味強かった。なかなか分かられないし、自分の意志でそう操れるところでもないから辛いよなあ。と、そこから掬い上げてくれるのが他でもない青磁で私は嬉しいよ……顔が良い。(初手)

役が瑠姫に似合ってたな~。ツンとした物言いも様になるし、時折の茶目っ気もスパイスで、屈託ない晴れやかな表情で世界を照らせる感じも、反面で影の落ちた湖面のような静けさとか。

 

クラスの中で、青磁が右と言えば右、左と言えば左、な圧倒的権力を司る陽キャだとは思ってなかった。(予告見ててもなんとなく青磁に影を感じてたゆえ。)その反動で茜ちゃんの可哀想な役回りも引き立ってて、前半はひたすら、茜は俺が守る!!!!!!!!!!!の使命感が自分の中に芽生えてたし、青磁の歯に衣着せぬ直球物言いにはひたすら茜の肩持ってたけど、後半で青磁の病気が明らかになった時点で、すみませんでしたッ!!!!!!!!!って熱い掌返し。(前半青磁があまりにもキレのある救い・突き放し、を繰り返しててDV男予備軍か…?と一瞬過ったのもすみませんでした。切腹。)人の抱えるものって外からはそう分からないんだよ、っていうリアルがまた上手に作用してた。後半で色々なことが辻褄合って行く、あの時の点が線になるように冴えた脚本、申し分が無さ過ぎる。

 

前半、青磁が言うこと言うから、それに応戦する茜、皆の前では気弱い割に青磁に対しては結構強気に出れてない…?って引っ掛かってたのも後半、小学校時代の青磁を助けたのが茜、昔の茜は性格真逆っていう事実で伏線回収されたのもスッキリした。無意識にそういう磁場が働いてたんだろうなって。

 

全体的に虚は無くリアルに響いて、かといって生々しくはない綺麗さで、映画としてのバランスが好きだった。色に対する拘りも自ずと分かる丁寧さで。制作サイドから透けるこの熱意、オタク全員大好物なやつ。夜の屋上、暗い中絵具で好き勝手遊びながら世界を彩るふたり、の段階で既に幸せな気持ちにもなってたけど、夜が明けたとき、くっきり完成形としての全貌が見えるその流れに凄くカタルシスを感じて、自由で更に満ちた気持ちになった。語彙ついて来てる?マジで超良かった、夜きみ。(限界)

 

キスよりも熱いシーンがあると純喜も熱を持って推してくれてたのは多分、マスクに絵を書いてあげるシーンか、絵具を顔につけるシーンかだと思うんだけど、(親密性を表わす動作が作品の核部分に触れてるから何気ない動作でも熱を持つし、浮かないし、詩的なのもお上手...)この映画をより綺麗にしたのはキスシーンが無いっていうことも大きい気がする。恋愛物の割に必要最低限の触れあい(手を繋ぐにしても引きの絵だったり)で物語が終わった、“妙に”リアルを一瞬も許さないところに、気概感じた。作品の精神的な透明度の高さというか。

 

ねぇ、なにあの色気駄々洩れ美術教師?(許してない)面倒を心得てるから逆に生徒には手を出さない女の家3か所は確保してるタイプの。スピンオフある?(ない)

 

青磁を好きと自覚し始めたくらいに、茜の睫毛の色、黒からネイビーになったように思えて(世界が色を持ち始めた描写としてありそう)途中、その真相を探るべく___で凝視してたんだけど、結局分からないから私の中ではそうしとく。(横暴!)(作中はあくまでクリアマスカラで整えてるっていう仕草で進む)

 

5年後の茜、デザイン系に勤めてる…?って過るくらい鮮やかな赤いスカート履いてたの、色をテーマにしてる作品だからその効き方にも心躍るものがあったし、なんとなく青磁が選んでくれたマスクの紐の色とリンクして、繋がりを感じたな~。(原作ってどんな感じ、どこまで書いてあるんだろう、と未読民は思う)

5年後の青磁見たかった><!!!!!!!!!とも思いつつ、ヒロインちゃんの花のような笑顔で終わるあの感じがきっと夜きみ、喜んでこちら側が折れます。大丈夫です。更にイケメンになってるのは分かってます。

5年後の青磁、黒髪になって帰ってきて欲しい。茜がヒーローになったあの日の色で。

 

鑑賞後感としての一番は、茜と同じタイミングで、久しぶりに私も息吸えたなあ、と思ったし、忘れてた世界の広さも青磁が気づかせてくれて、一瞬だろうと心が軽くなったのが嬉しかったし、明日からもここで目に映した情景はお守りとして心に置いておきます。\夜きみ、最高!/(映画試写会風)

 

 

P.S.浄化されるような作品に触れて半ば夢見心地で映画館出た後、スマホ電源つけて【汐恩】って連絡来てるの、わたしの現実、しあわせにもほどがあってつい笑ってしまった。「仙台の濃い茶形違う。なんでや🍵」って些細な報告メール来るの、ここから脚本書けそう。汐恩、それ仙台だからやない、ラベルレスや。(もしくは460mlや。)